Author:安藤心吉
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60才・A型
平成20年4月5日午后
私が迎えに行ったのは3時過ぎであった。
千葉の介護施設において昼食までは良かったが、3時のお茶が自分で飲めなかったようだ。
茶碗を自分の口に持っていけないのだ。
少し風邪をひいているようで熱が7度9分あった。
いつもなら手を引いてもらう程度で車まで歩き自分で車に乗れた(やっとだが)のだが、その日の父は足が前になかなか出なかった。
それでもやっとの思いで乗車した。
車中いつもの父とは様子が違った。
後部座席で殆どしゃべらずボーッとしていた。
家について・・・いつもなら何とか自力でおりるのだが、全く足が外に出ず自力で降りることができなかった。
父を抱えて車から降ろしたが、全く歩けない。
妹婿に協力してもらって階段を登り何とか家の中にたどり着いた。
介護施設に電話して、昼食の内容を聞くと、普通のご飯だったと言うのでお寿司を買ってきた。
もう自分でお寿司を自分の口に運ぶこともできなかった。
お寿司を持った手が口に行かないのだ。
お寿司が顎の下にあって、それを食べようと口をぱくぱくさせていた。
私は、お寿司を三分の一程度に切ってぱくぱくしている父の口に運んだ。
いつもの食欲は無く、私の四分の一程度で「もういい・・・お腹一杯」と言った。
つい最近まで私以上に食べていたのに・・・
父をベッドに運び寝かせた。
突然、「あああああああ・・・」と叫ぶので父の部屋に行ってみると、手が上から引っ張られるような仕草で両の手を振るわせている。
「大丈夫だよ・・・何も無いよ。」と言うと今度は腕をベッドの両脇に届くように開いて端を強く掴んで「ああああああ・・・」と叫びながら腰を上下にバタバタと振るわせている。
「大丈夫だよ・・何も無いよ。」と何度も言い聞かせやっと静まった。
この夜はそんな事が何度も起きた。
翌朝「あああああああああああうぅぅぅうううううう・・」という叫び声で目が覚めた。
父はパンツを半分おろした状態でベッドの下で仰向けになってわめいていた。
ズボン下もシャツもシーツも全てオシッコで濡れていた。
まず、ズボン下を脱がせてリハビリパンツを脱がせると、(下半身が裸の状態で)「オシッコが漏れる」と言うので、父を持ち上げてベッド脇のポータブルに腰かけさせようとした。
父の後ろから両脇を抱えて移動を試みている最中に父は腰を硬直させて移動に抵抗する。
こんしんの力でポータブに座らせた瞬間に放尿した。
下着を着せ替えて、シーツを新しいものに取り替えてベッドに寝かせ朝食の準備にとりかった。
やはり朝食も自力では食べられない。
小さなお茶碗半分程度のおじやを長時間かけて食べさせた。
汚れた衣類を洗濯していると又「あああああああああああ・・・・」と叫ぶ。
夕べと同じだ。
手を上に上げて両手と腰を振るわせていた。
そんな日曜日が過ぎて月曜日になったので、朝一で介護センターに連絡し、父の急変に関して相談した。
風邪もあったので、近くの医師に往診してもらった。
ケアマネージャーさんにも来てもらって医師とケアマネさんと私の三人で今後の方針について話し合った。
医師とケアマネさんが来ている時までは自力で食べ物を口に出来なかったが、3時頃に「腹が減った」という父に温かいオジヤを持っていくと・・・先ほどの状況がウソみたいに自力で食べ始めた。
自力はまだ立てない。
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(株)TRUTH 吉野大観
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